「ごめん。
驚かすつもりはなかった」

手に持っている書類を教卓に無造作に置き、頭をかく。

「……クス……クスクス」

「?」

「生徒会長ってお堅いイメージがあったのに、なんかかわいいですね」

「か、かわいい……?」

「あ、ごめんなさい。
男の人にかわいいって……忘れて下さい。
嵐生生徒会長」

「いや。
君の呼びやすい呼び方でいいよ。
華城月」

「私の名前。
どうして?」

目立つ方でもなければ何か有名な賞わとったわけじゃないのに名前を知っててくれた。

「知ってるさ。
君のこと、いじめにあってることも。
それに君は俺の……」

「そこまで知ってるなら私に近づかない方が……」

「――俺は信じていいから」

「え?」

月と石榴しかいない教室。そっと後ろから抱きしめられた。

「……。
や、離して……私、に触る……と……」