私と啓が初めて顔を合わせたのは私たち家族が近所に引っ越してきた日からだ。

元々啓のお母さんと、私のお母さんは知り合いだったみたいですぐ仲良くなった。


初め、私はお母さんの後ろに隠れていた。
啓もまたお母さんは後ろに隠れていた。

「啓、挨拶は?」

「……はじめまして、おれ、たなべけい」

「は、はじめまして、わたしはほんもとえみ……」

お互い見つめあって相手がどう出るか観察していた。

そんな私たちに、母たちは笑った。


「啓、エミちゃんと遊んできなさい」

「エミ、啓君に少し案内してもらったら?」

母たちの提案により私たちは2人で散歩をすることにした。