なんで、話しかけるかな…。
『俺たち、高校同じだったんだ』
「たまたまね。」
ぶっきらぼうに答える。
『いつでも会えるし、ラッキーじゃん』
テノールの心地いい音程でそんな言葉をいう
幼馴染みを 信じられるわけがない。
慣れてる、そんな感じで。
「付き合うなんて言ってない」
『俺に逆らうって?』
「そんなのーー」
ふいに。ちゅ、とリップ音をたてて触れた唇に
思考が、止まった。
『ほら、逆らえねーだろ』
「ーーっ」
『今も昔も。お前は俺のものだ』
なんで、今更そんなこというの。
欲しいときに言わないくせに
諦めたときに忘れそうだったときに、
なんで、なんで。
ずるい、そんなのずるいよ…。
