痩せた長身。だらしなく肩まで伸びた茶髪。8月なのに首に巻かれたマフラーは、見ているだけでこっちが暑くなりそうだった。


「確か3年B組の…………大器 切だっけか」


「おぉ、よく覚えてたじゃね-か」


ニヤリと楽しそうに笑う口元に反して、その目付きはどこか眠そうな半目だった。





大器 切。


「オオキ セツと読め」

「はいはい」


傷の中学生としての行動を見張るように命令された、いわば[監視役]のような存在である。


普段会うことは無いが、彼は他の人間が知らないある‘方法’で傷を観察し、記録しているのだとか何とか。


…………今から数ヵ月前、傷がこの王生中に入学する為に言い渡された条件の一つが、この大器 切の監視だった。


「とゆ―訳で、お前の活躍は常日頃から見させてもらってるぜ。なかなか派手に暴れてるじゃんか」


「暴れてるのは俺じゃなくてコイツラだよ。俺は基本的に被害者だ」


そう言って、傷は由奈を指差す。




その指を見て、何故か由奈は嬉しそうに笑った。















「今回も、面白くなりそうだね」