「犬のクセに気配を消すのが上手いな。お利口だね、ビル・ゲイツ」


傷がその大きな垂れた耳の辺りを掻いてやると、ビル・ゲイツは気持ち良さそうに目を細めた。


「そっ…その犬は、今朝の……………!!!!!」


千葉が若干引きつった声音で呟く。


そういえば、彼女はこの犬が率いる巨大犬の群れに襲われたんだっけ。


あれじゃあトラウマが生まれるのもしょうがない。


「大丈夫だよ怖くないよ、ビル・ゲイツはデカいけど根は優しい奴なんだよ〜。きっと」


「きっと!?」


傷の危ないのかそうじゃないのかよく分からない発言に、千葉は警戒してズザザッと素早く5mくらい後ろに下がった。


………速ぇなオイ。


「……それで、さっきも言った疑問なんだけど……」













「何でアンタがいるんだ、淳夜さん」












「いやー、バレちゃったらしょうがないねー」


なんかもう不自然なくらいに爽やかな笑顔を浮かべて。


「どーもこんにちは、傷の次に出番が多いと評判の淳夜先輩でーす」
「ワンワン!!」