「すんませーん。その人の名前が読めませーん」


「……………フウラ リョウヤ、だよ」


答えたのは、意外にもデカワンコ達に囲まれていた淳夜だった。


「最近は学校で顔を合わせる事も少なくなったけど…………」


「生徒会の仕事が大変でね」


「―――んな事はどうでもいいんだよ……………」


未だに生徒会長と向き合っていた久保が、イライラとした調子で言った。


「今大事なのは、テメェがおれの邪魔をした事と、そのせいで山城さんが怪我をした事だ」


「やれやれ。短絡的な考え方をするんだねぇ、君は」


「ンだとゴラァッッ!!」


会長は久保をバカにしたようなため息をつき、


「しかしまぁ、生徒会の者の方から君達に喧嘩を売ったのは事実だ」


「会長。私はこの学校の一般生徒に迷惑をかける輩に、当然の処置をしたまでです」


千羽から抗議じみた声が上がった。


「うん、君の言いたい事はよく解るよ。君は生徒会の一員として、立派に行動しようとした。エライエライ」


パチパチと音を立てながら拍手する会長を見て、傷は全くもって理解不能と言うように首を傾げた。


「なんか……………捕らえ所の無い生徒会長だな」


「いや、傷くんにそれ言える資格は絶対無いと思うよ。でも、あの人はね―――」






「後島 淳夜の幼なじみ―――なのさ」



蔆哉が笑って言った。





淳夜とよく似た笑い方だった。