その指に触れて

「万梨子、あなたは彼氏ができたの?」


汐香が机に手を置いてあたしを見下ろす。


「いや、片思いです」

「最近放課後になるとさっそうと姿を消すわよね。あれも好きな人の元へ?」

「はい……」

「なるほど」


汐香の隣の瞳と睦実も頷く。


悪かったって思ってますよ。


「どこ行ってたの?」

「……美術室」

「「「は?」」」


三人の目が途端に点になる。


どうしてもみんなそういう反応なんだって。


「美術部男子?」

「……うん」

「あんた、運動部男子がいいって言ってなかった?」

「……好み、変わりましたかね」

「名前は?」

「……山田遥斗」


あたしが呟くと、三人が目を丸くして「ああー!」と声を上げた。