「万梨ちゃんはどうだったのさ」


ため息を漏らした遥斗はスケッチブックの手を再び動かし始めた。


「聞き返すの?」

「万梨ちゃんから聞いてきたんだからね。やったの?」

「最初からぶっこんでくるな~」

「万梨ちゃん、俺様みたいな男は嫌い?」

「無理。元カレみんなそういう感じ。付き合ってから気づいて毎回後悔」

「万梨ちゃん、見る目ないんだ」

「ないね。自分がやんなる」


でも、遥斗のことは後悔してないつもり。


喉まで出かかったそれを慌てて飲み込む。


「女がみんな押しに弱いと思ったら大間違いよ。強引にやればみんな足開くと思ってる」

「俺は思ってないけど」

「うっそ。実は思ってんじゃないの? 俺が本気を出せばって」

「それ、勘違いにも程があるでしょ。拒否しなかったの?」

「毎回拒否したわよ。どいつもこいつも下半身バカ。それが原因でいつもフラれる」

「……まだなんだね」


遥斗の言葉にはっとする。


処女ってばれちゃったし……。