その指に触れて

「わ、うわっ!」


次の瞬間、遥斗の目が勢いよく開かれて、あたしは驚いて指を離してしまった。


遥斗が椅子ごと後ずさり、バランスを崩した椅子が傾いて遥斗は床に倒れ込んだ。


この間とあまり変わらない状況。


「あんた、相変わらずばかだね」


この間と同じように遥斗の傍にしゃがみ込むと、遥斗の肩がびくんと揺れた。


「何びびってんの」

「あ、あの、万梨ちゃん」

「何」

「お、俺……」

「うん」

「言い訳だけど……」

「うん」

「ね、寝ぼけてて」

「……うん」

「万梨ちゃんに、あんなこと……」


申し訳なさそうに、遥斗の目が潤んでいる。


本来のあたしなら、この場で胸倉を掴んで「ふざけんじゃねえ」と叫ぶとこだけど。


そんな顔されたらそんな気力も萎える。


あたしは黙って遥斗に手を伸ばす。


殴られるとでも思ったのか、ギュッと目をつぶった遥斗の頭に手を置いた。


「……万梨ちゃん?」

「お疲れ様」


遥斗に微笑んで頭をなでなですると、目をぱちぱちさせた遥斗は俯いてあたしにされるがままになっていた。