その指に触れて

遥斗の唇に指が触れた。


そのとたん、なぜか泣きたくなった。


この唇に食べられたい。


もう、あたしおかしいよ。


昼間っから寝顔に欲情してる。


さっき、寝ぼけていたとはいえ「食べていい?」って言われた時も全然嫌じゃなかった。


むしろ食べられかったわよ。


ここが学校だから、あれ以上いったら止めただろうけど。


「遥斗」


もう一度呼んでみる。


「ん……」


重い瞼がゆっくりと持ち上げられる。


あ……起こしちゃった。


「万梨ちゃん……?」


唇が動いてあたしの指に熱い息がかかった。


途端に全身がカッと熱くなる。


やばい。離さなきゃ。


頭ではわかっているのに、あたしの指はぴくりとも動かなかった。


頭より体の方が正直なのだ。


あたしたちは見つめ合うような体制になっていた。


しかもあたしはほとんど寝込み襲ってるような状況。


あたし、遥斗のこと言えないじゃん。


あたしの方がよっぽど変態だよ。