その指に触れて

「いってー……」


遥斗が額を押さえて床に転がった紙パックを拾い上げる。


そんな動作もフラフラして危なっかしい。


「早く飲みなさい。絵に集中しすぎて死ぬなんて、笑い話にもなんないから」

「笑い話にはされたくないな、俺……」


椅子に座って黙って飲み始めた遥斗の隣に座り、あたしは鞄の中からビニール袋を取り出して遥斗に差し出した。


「これも」

「菓子パン?」

「おにぎりも入ってる」

「……何個買ったの?」

「五個。友達と昼休みに食べようと思ったんだけど、結局食べれなかったから」

「いいの? こんなに」

「こんなもん、あんたが倒れるのと比べたら安いもんでしょ」


あっという間に飲み終えた紙パックと引き換えにビニール袋を遥斗に押し付ける。


「捨ててくるから食べて」

「……お姉さんみたい」


弱々しく笑うもんだから、「いいから早く食べろ」と言ってしまった。