その指に触れて

「……よし、できたあ」


力が抜けた声がして、山田くんが伸びをした。


「万梨ちゃん、何考えてんのー?」


山田くんの声にはっとして見ると、にっこり笑ってあたしを見ていた。


「……あ、ううん、別に」


いかん、変なこと考えちゃった。


「あの……山田くん」

「堅苦しいから遥斗って呼んでよ」

「うわ、馴れ馴れしい」

「ダメ?」

「ダメじゃないけど……じゃあ、遥斗」

「ん?」

「ごめんなさい……」

「え、何が? ……わ、わわっ」


遥斗が伸びをしすぎて椅子が元に戻らなくなって、腕をぶんぶん振ってあわあわしている。


「万梨ちゃん、ヘルプー!」


ガターン!と大きな音を立てて、遥斗は椅子と共に床に転げ落ちた。