風景画だった。


バックはオレンジと青が混じっていて、白い山がそびえたっている。


「これ、雪山?」

「うん」

「こんな連なってる山、ここらへんじゃなくない?」

「そう。北陸にある山だよ。ここみたいに山が遠く見えなくて、すごい間近に見えるんだよ。たぶん、高層ビルがないからだけど」

「都会じゃないってわけね」

「一年生の冬に用事があって行ったんだけど、一目ぼれしちゃった。街から見ると、山が夕焼けに照らされているのがすごく綺麗でさ」


山田くんが目を細めながら話しているのを聞きながら、あたしは絵の中の山に引き込まれていた。


ほんと……うまい。


雪山がオレンジに染まっているこの絵が綺麗だと思った。


オレンジと一口に言っても、部分によって濃かったり薄かったりして立体的に描かれている。


何度も言うようにあたしは美術のことは無知だ。美術の専門の人からすれば、なんて薄っぺらい感想だと鼻で笑われるだろう。


でもほんとに、すごく綺麗な絵だ。


オレンジ色が目に染みて、全身がオレンジ色に染まっていきそうな感覚さえした。