その指に触れて

「で、何? そのゆみちゃんが絵文字たっぷり顔文字たっぷりのメールを送らなければまたぶっ飛ばすと。そう言われたわけ?」

「全くその通り」


男……遥斗はあたしに苦笑してみせた。


「でも、わざわざメールに『ゆみちゃんへ』って書く必要ある?」

「俺もそう言ったら、『メールは電子機器の手紙だ』なんて言われて、危うく携帯を真っ二つにされそうになった」

「スマホを真っ二つにするって結構難しいと思うけど」

「顔文字を選ぶのも毎回一苦労だよ。俺、いつも絵文字一つしか入れないから」

「てか、その前にゆみちゃんにメール返さなきゃいいじゃん」


こいつ、あほでしょ。


「じゃあ、ケーキを作ってもらったのもそのお姉さんか」

「ケーキ?」


遥斗はスマホをいじって、しばらくして「ああ、これか」と頷いた。


「この時から万梨ちゃんに送られてたんだ」

「そういうこと。メアド、ゆみちゃんと似てるの?」

「似てるね。数字のゼロか小文字のオーかの違い」

「そこまで似てる人がいるとは思わなかった」


いつの間にすり替えられたんだ、あたしとゆみちゃんのアド。