その指に触れて

「ご、ごめん。状況が全く理解できてない」

「じゃあ、あんたの携帯からゆみちゃんにメール送ってみて」


男の指がスマホをなぞる。


……こいつ、指がすごく細い。


手の甲も綺麗な肌に覆われていた。


本来の目的を忘れて、あたしは目の前でスマホをいじる指を見つめた。


ただ細いだけじゃない。長い。骨ばっている。


白くて、細長くて、綺麗な形をしている。


思わず唾を飲み込んでいた。


携帯の着信が鳴る。あたしは新着メールを開いた。


「って、『ゆみちゃんへ』はもういいんだっつの……」


さすがに今回はそれ以下の文章はなかったけど。


「……え、てことはじゃあ」


男の目がようやくあたしを捉える。


可愛い顔してる。


イケメンとは決して言えないけど、どちらかといえば可愛い部類に入る顔だ。