その指に触れて

「……え?」


メガネの奥の大きな目をさらに見開いて、男があたしの画面を見つめた。


驚きもするだろう。


あたしの画面に、今送られてきた文章がそっくりそのまま映っているんだから。


「え、え?」

「今まであんたがゆみちゃん宛てに送っていたメールはあたしに届いていたってこと」

「…………え?」


目の玉をくるくると回して、口をぽかんとさせている。


唐突すぎたか。


「一ヵ月前、あたしの携帯に意味不明なメールが送られてきた。『ゆみちゃんへ』なんて、今時誰が送るんだっつーの」

「……あの」

「それから二日くらいしてまた送られてきた。たぶんこいつは不本意であたしに送ってるんだろうなって思った。ホラー映画なら別だけど」

「……は?」

「で、今日。さっきあたしの携帯にこのメールが送られてきて、あたしはここに来た」


目の前の男にさっきのお誘いメールを見せる。


男の目が高速で瞬きを繰り返していた。