その指に触れて

遥斗があたしから離れて腰の手を離すと、あたしはいとも簡単に床に崩れた。


「立場逆転だね」


あたしの目線と同じになるようにしゃがんで楽しそうに笑う遥斗を睨みつける。


「嬉しくないし」

「なんならもっとやろうか? 今度は全身に」

「遥斗……あんた今Sのスイッチ入ってるよね」

「入ってるね、かなり」

「なんで?」


それはいいのか、悪いのか。


「万梨ちゃん」


遥斗の指が肩に触れた瞬間、あたしの体がびくりと震えた。


「……万梨ちゃん?」

「え……?」


あたしの体が勝手に震え出す。右手で左腕を掴むと、カタカタと小刻みに震えているのがわかった。


「何これ……」

「万梨ちゃん……」


遥斗の目がわずかに見開かれている。


「違う。違うの」

「万梨ちゃん」

「違うからっ!」


自分で言ってて、何が違うかなんてわからない。


やだ。やめて。


もう、遥斗に嫌われたくない。


なんでこんなに震えているのか。


やめて。止まって。