その指に触れて

「……よくもまあ、そんな自信満々に言えること」


遥斗はあたしから顔を背けてチューハイを飲み干す。


「もう酔ってる? 万梨ちゃん」

「まあ、強くはない」

「もうダメだよ。吐かれたら困る」

「ん」


あたしは遥斗の隣に移動した。


「遥斗、キスしていい?」

「二個でだいぶ酔ったよね……」

「いつもこんなんじゃん」

「……まあ、否定しないけど」


あたしは遥斗に顔を近づける。あたしの唇が触れる寸前で遥斗の手の平に阻止された。


「ダメ」

「キスくらい、やってきたじゃん」

「万梨ちゃん、押し倒す気でしょ」

「なんでわかんの?」

「目でわかる」


似たようなことを、以前も言われた気がする。