その指に触れて

「俺、言ったよね。もう関わらないって」


遥斗の表情は穏やかだった。でも、言葉に棘があって、痛い。


「だからつけたんだけど。いつから気付いてた?」

「最初から。万梨ちゃんが四組の前にいたときから」


──「万梨ちゃん」。その呼び方に、なぜか安心していた。


「ストーカーなんて、趣味悪い」

「お互い様でしょ」

「まあね」


お互いの顔を見て、ふっと口を綻ばせる。


ああもう、むちゃくちゃ好きじゃん、あたし。


「なんでつけたの?」

「あんな、一方的にフラれて、あたしが黙ってると思う?」

「いつも俺に一方的に告ってたくせに」

「遥斗が逃げたのが悪い」

「だから言ったでしょ。俺は付き合う気はないって」

「煮え切らない」

「わがままだね」

「わがままだよ。だから、こんなことができる」

「もう少し言わないとわからない? 俺さ、がつがつしてる女の子嫌いなんだよね」

「元カノはドSだったくせに?」

「それは好きになった子がたまたま」

「だから、受け入れたんだ。あっ、そう」


言いながら、あたしは泣きそうになった。目の奥が熱を持っている。


泣いたら負けだ。