その指に触れて

あたしは布団に顔を埋めて、泣いた。


人に泣き顔を見せたくない。その思いで、嗚咽も布団で隠した。


泣いて泣いて、気づけば寝落ちして、気づけば朝になっていた。


「……ああ、腫れてるよ、見事に」


鏡で自分の目が真っ赤に腫れているのを見て、なんだか笑えてきた。


おかしいよね。振られても笑ってられるんだから。


学校に行くと、いつもの三人に笑われた。


「ぎゃー! 万梨子、ひっどい顔ー!」

「おかしー! パンダみたい!」

「ひっどいなー」

「ま、万梨子、どうしたの、その顔?」


瞳だけは必死に口を押さえて笑いを耐えていた。


「夜中にDVD見て泣いたら、いつの間にか寝落ちしてたのー!」


教室中の人に聞こえるように、大声で言ってのけた。


みんなの視線を集めているのはわかっていた。