その指に触れて

でもね、遥斗。


それでもやっぱり好きなんだ。


突き放されても、あんな顔をされても、あたしは遥斗が好きなんだ。


そんな遥斗も愛しいと思ってしまう。


なんでだろうね。聞かれてもわからない。


仕方ないじゃんか。惚れたもん負けだよ、ほんと。


笑い顔も、泣き顔も、呆れているのも、怒っている顔も、大好き。


遥斗、その指で触って。その唇で触れて。あたしをめちゃくちゃにして。


あんたは変態だって言うだろう。でも、それくらい好きなんだから。


あたしが遥斗をこんなに好きにならなければ、ほとんど衝動的に処女を捨てなければ、出会ってすぐに告白しなければ、「付き合って」とうんざりするくらい言わなければ、あたし達はたぶん、いい友達としていれただろう。


でも、それだけじゃあたしは足りないの。


もっと遥斗を知りたかった。どんなことで笑うのか、どんなことで怒るのか、どんなことで泣くのか、どんなことで恥ずかしがるのか。


どうすれば、遥斗をもっと知れたのか。


友達のままでいいなんて、そんな妥協はしたくなかった。


お互い思い合って初めて、分かり合えることだってある。


それが知りたかった。


遥斗が、欲しいと思った。