その指に触れて

遥斗は、時々わからない。


弱々しい時もあれば、強気にあたしに言ってくるときもある。


気まぐれなのだろうか。


ただ、今あたしが胸倉を掴んでも、遥斗は目を潤ませることなく「万梨ちゃん、やめて」と冷静に諭すように言うに違いない。


二重人格? それともどちらかが素?


簡単そうに見えて、実はすごく難しい種なのだ、遥斗は。


甘かったのだ、あたしの考えが。


まあ、あたしがあんなに「付き合って」などと連呼しても遥斗はなびかないとわかっていたから言っていた節もあるけど。


あれで「付き合おうか」とか言われたら、たぶんあたしは逆に断っていただろう。


正直、遥斗と付き合えるなんて思っていなかった。


それでも、最後の言葉は結構きつかったけど。