その指に触れて

あたしが話し終えると三人は「ふうん……」とある程度納得したらしい。


「話してみるとほんと普通だよ。男友達の感覚」


まあ、あっちはその気だろう。あたしが恋愛感情を抱いているだけの話だから。


「じゃあ、山田くんは万梨子を描いてコンクールに送ったの?」

「そうだよ」


瞳の言葉に頷くと、汐香がずいっと顔を近づけてきた。


「……怪しい」

「は?」

「男女が誰もいない教室で二人っきりだったわけよね」

「……まあ、そんなときもありましたね……」

「そんな状況で若い男女が何もしないわけがないわ」

「……汐香」

「万梨子、草食系のセックスって、どうなの!?」

「汐香、ここ教室。しかも昼の十二時半」

「汐香ー、教室中の人に見られてるわよー」


あたしと睦実は呆れるけど、ピュアな瞳は汐香の発言に頬を赤く染めている。


「瞳に悪影響でしょ。純粋なんだから」

「ねえ万梨子、山田くんってうまいの!?」


この子は昼間っからなんて発言をしているんだ。


教育委員会の人が傍にいたら汐香は即退場させられている。


「何もありませんでした。あたしの処女はいまだ固く守られています」

「万梨子、あんたもけっこう過激よ……」


睦実が汐香の隣でぽつりと呟いた。