この人の所にいたい。
でも……私はここにいていいの?

大切な家族のようなあの子をほって置いて……



「おい、ねこ」


"ねこ"私を見ては何度も繰り返す言葉。
それが私を指すことに最近気づいた。



私に名前をつけてくれたんだと思う。



「ニャー…」


心配してくれてありがとう。
あぁ、この人の言葉がわかればいいのに。
感謝の気持ちを伝えられたらいいのに…


人になれたらいいのに……



「どういたしまして」

「?」


人間は私の頭を優しく撫でる。

なんだろう、今会話できた気がした。
もっと触れ合いたい、この人の特別になりたい。



「俺、お前が来てから家に帰るのが楽しみになった。なあ、ねこ。ねこは気ままだからな、いつかいなくなるかもしれないけど…。俺を忘れずにまた会いに来てくれよ?"水樹"だ、忘れるな」


くしゃくしゃと私の毛をかき回すように撫でる。




み、ずき……。
なんて綺麗な音なんだろう。
この人の名前なのかな?



「にゃー、にゃー!」


みずき!!
私、やっぱりずっとここにはいれない。
でも、あの子を迎えにいって、必ずここに帰ってくる!