「病院まで連れて行ってやるから、死ぬなよ」
見上げると人間が一人、私を見下ろしていた。
「ニャ―……」
「まだ生きてるな。行くぞ」
人間が私を抱え走り出す。
「やだ、汚い…」
「何、あの子」
私を抱えて走る人間を周りの人間は嫌な目で見る。
人間の腕の中で、過ぎていく景色をぼーっと眺める。
意識が遠ざかっていく……
「大丈夫だからな…」
言葉は理解出来ない。
でも、私を案じているものだということ
はわかった。
ここで死んでしまったとしても…
こんなにあったかいならいいや……
ただ、ありがとうと伝えたかった。
助けようとしてくれてありがとう…
そこで私の意識が途絶えた。


