「スカート丈、直せ」
「やーだよ。どーせすぐ部活だし」

この通り、若いもんだから完全になめられてる。

「ネクタイなんか締めちゃって、どっか行くの?」

丸い目をさらに丸くさせて、森里が言う。そういえば、ネクタイなんて久しぶりに付けた。

「ちょっと、城島ん家」
「城島さん?あー、成る程」

大体の状況はわかったらしい。

「先生も大変だね。ま、頑張って!」

そう言うと森里は長い髪をくるっと翻して、体育館まで走っていった。

「おっ!森里さんじゃん!」
「やっぱ美人だよな~」
「森里さんの友達に聞いたんだけど、彼氏いないらしーぜ!」
「マジかよ!俺いこっかな」
「ほらよ、鏡」

聞こえてしまった、うちのクラスの男子たちの会話。
…青春、だな。