「…自傷癖の、ある子なんですか」 看護婦が小さく呟いた。 僕はわからないと答え、凛のことを何も知らなかったことに改めて気づいた。 自傷癖? つまり今のはリストカット? 看護婦は泣き出した。 話を聞くと、自分の姉はリストカットで自殺をしたらしく、その現場を見てしまったため手首に血がついてるだけで怖くなってしまうらしい。 朦朧とした中で話を流すように聞いていた。 すると、凛がもぞもぞと動き出した。 「…あれ、先生…?」 何事もなかったかのように、ふわぁと大きな欠伸をした。