とにかく、病院。
行く先はそこしかない。
というかまず救急車―――

いや、まずここを離れなくては。
エンジンを掛けると、猛スピードで城島家を離れた。
混乱した頭で運転するのは危険だが、この場所にいるより安全だ。そう思った。


『殺そうとした訳じゃない』


ふと、あの男の言葉が蘇った。
殺そうとした訳じゃない?
自分の娘にこんなことをしておいて、何を言っているんだ。
狂ってるとしか思えない。

あんなに、仲が良かったのに…
涙がボロボロと出てしまった。
凛が可哀想だから?それとも怖いから?
よくわからない。


どれくらい走っただろう。
城島医院からも学校からも離れた場所のコンビニの駐車場で、ようやく救急車を呼んだ。

10分ほどで救急車は到着し、凛は運び出され、僕も付き添った。
傷だらけの凛を見て、事件性を感じたのだろう、救急隊員は警察に通報した。