浅いものから深いもの、新しいものから古いものまで、数え切れないほどの生々しい傷跡。

血が…ぽたぽたと垂れている。

「…先生……」

急いでシャツを脱ぎ、凛に羽織らせた。真っ白のシャツに血が滲む。

「城島、しっかりしろ!」

目は虚ろだ。
これは、ヤバい。他にぴったりな言葉が浮かばなかった。

「おや、逃げ出さなかったんですね」

背後から城島医師の声がした。
こいつが…こいつが、こんなことを?

「…警察に、通報します」
「私が、殺そうとした、と?」
「あなた以外に誰がいるんですか!」
「…確かに、私が傷を付けた。でもそれは、殺そうとした訳じゃない」

何を言ってるんだ、こいつは…
頭が混乱して何も考えられない。

誰か、説明してくれ…