「…もしもし」
『先生…ごめんなさい、急に』

受話器から聞こえてきたのは、凛の声だった。

「学校に掛けてきたのか。この前お父さんに電話番号渡しただろう」
『…パパ、捨てちゃったから』

捨てた?どうして?
まあ、今はそんな事を聞いてる場合ではない。

「それより、どうした?」
『…あの……昨日、先生が来たとき…私、いじめられてるって言いましたたよね…』
「ああ、その事なら今日クラスで会議を…」
『あれ……嘘なんです』

…嘘?呆れからか安心からか、溜め息が出てしまった。肩の力が抜けた。

『ごめんなさい…』

凛が申し訳なさそうに謝る。