「そこに掛けていてください」
「は、はい」

広いリビングに置かれた大きなソファーに腰を掛ける。
冷たい風が汗を乾かしていく。ぼんやりとした光は、ろうそくだろうか。目に優しく、この部屋の雰囲気によく合っている。
美しい絵画、高そうな骨董品、趣味の良い家具。どれも素晴らしいものだ。しかし…


この臭いは、何だろう。


鼻をつく、肉が腐ったみたいに酸っぱい…何とも言えない臭いが立ちこめている。
家に入ったときは特に気にならなかったが、奥に進むにつれて酷い臭いになってきている。
いったい、何の臭いだ?
それに、どこから?

「お待たせしました」

城島医師が戻ってきた。それに…

「…こんにちは」

城島 凛…
何ヶ月ぶりだろう、この顔を見るのは。