君と初めて出会ったのは小学6年生の9月。

君は沖縄からの転校生。

先生が黒板に彼の名前を書いた。

「海元雅紀」かいもと まさき
自己紹介が終わって指定された席はあたし、櫻井詩穂の隣の席。

授業が終わった休み時間。

君の隣にはたくさんの人が集まってた。

すぐに君はみんなと打ち解けたね。

女子はだいたい海ちゃんって呼んでたからあたしもそう呼ぶことにした。

その時は海ちゃんの事なんて好きじゃなかった。

海ちゃんは背が高くて、優しくて、スポーツ全般得意で、頭もいい男子。

新学期になったから席替えすることになった。

あたしの席は窓側。

海ちゃんは廊下側の席。

そしてあたしの隣は新井数馬。
とにかく数馬はうるさくていつもイライラしてた。

ある日、帰りの準備してたら数馬が「俺のランドセル取って来て」って言うからロッカーに行って数馬のランドセルを取った。

取って来たのに全然準備しないから手伝ってたら海ちゃんが来て「お前、準備くらいしろよ」ってふざけて言い合ってた。

それを見てたら海ちゃんと目が合って、あたしの頭をぽんぽんってなでた。

「優しいな」

君に言われた言葉が嬉しくて胸が少しだけときめいた。