唇が離れてゆっくり歩き出す。
すれ違う女の子達に目をやると、
赤やピンクの浴衣に惹かれた。
黒地にピンクの華の模様にも
華やかで目が奪われた。
すれ違う浴衣を着た子はほとんど
ピンクか黒か紺の浴衣だった。
私の浴衣は変わった水色。
この年になって
水色を着るなんて
私だけじゃないだろうか。
本当はピンクが着たかった。
次は赤。次は紺。
ピンクと赤は友達のもの。
紺は売ってはいなかった。
人気で売り切れてたらしい。
黒は似合わないのを知っていたし、
好きな色ではなかった。
水色しかなかったんだもん……。
