俺はトイレをすまして中庭に戻ろうと、来た道を引き返した。 戻る途中、廊下の真ん中でカップルらしき奴らが抱き合っていた。 「‥んだよ、通りにく‥」 俺は小さく舌打ちしてなるべく存在を消すように静かに歩いた。 「‥‥っ‥ぐすっ‥」 そのカップルの女の方は泣いているようだった。 「‥大丈夫か?」 男の方が女に話しかけ、女が顔を上げた。 その瞬間見えた顔。 ‥‥愛華と梅川だった。