深紅に染めて(仮)



「紅葉の口元のピアスな…。
あれ泉が穴開けたんだよ」


「…え?」


「まだ5歳紅葉の無力に痛がって抵抗する姿見てアイツ、楽しそうに笑ってたんだとさ。


紅葉は、守られずに育った。
だから、俺は紅葉を全力で守る」


「…竜はカッコいいね」


思わず呟いた、本心。


「あたしはさ、今まで何も知らないで平凡に生きてきたからさ…
紅葉の苦しみが、わかりきってないんじゃないかって思うの…

ケンカが強い訳でも、勉強ができるわけでもないし…
守ってあげたいのに守ってあげれない所か、逆に守られてる…


あたしは、本当の父親以上に最低なのかも…」