深紅に染めて(仮)



野菜を切っていたお母さんの手が止まった。


「あたしね、今日会ったんだ。
紅葉って子に。

超あたしにそっくりでね。
あたしの妹だって言うの」


「今すぐ、その子と縁を切りなさい!
そんな子知りません!!」


包丁をまな板に置いて振り向いたお母さんはいきなり怒鳴った。


でも、お母さんの顔は怒っている顔ではなく悲しそうで何かに怯えたような感じだった。


でもそんな事、その時のあたしは気付かなかった。


ただいきなり怒鳴られた事が気に食わなかった。


「知らないならいいじゃん!!
何でどなるのよ!」


「口答えしないで!!
いいから縁を切りなさい!」


「…お母さんマジ意味わかんない」