「あと高橋…!」
 
 
 
俺はあと一つ、高橋に言いたかったことがあった。
 
 
 
「まだ何か?」
 
 
 
「もうこれ以上…華音にいやがらせをするのは止めろ。」
 
 
華音は大丈夫だとは言っていたものの、見ているこっちが辛くなる。
 
 
 
「…私は華音のせいで色々なものを失ったの。それに比べればまだましでしょ?」
 
 
高橋は怪しい笑みを見せた。
 
 
「だからってあんなことして良いわけじゃねぇだろ…!?」
 
 
 
 
 
「私の辛さが分からないからそんなことが言えるのよ……!」
 
 
高橋は苦しそうな顔をした。
 
 
「神倉是奇……とんだ偽善者ね…。」
 
 
 
そう言い終わると、高橋はどこかへと歩いて行った。
 
 
 
「…偽善者……か。」