俺は学校が終わると、町を大体見て回ることにした。
 
 
俺の見る限りでは、ここは田舎だ。
 
少なくとも、前にいた東京よりはずっと。
 
 
だから三、四時間もあれば町を回れるだろう。
 
 
 
「まずは学校の近くからだな。」
 
 
そう呟くと俺は歩き始めた。
 
 
 
「あー、是奇君だぁ!」
 
 
途中で後ろから声を掛けられた。
 
…確か、同じクラスに居たよな。
 
 
「よ…よぉ。」
 
 
 
「こんなとこで何してるの?」
 
 
…別に何だって良いだろ。
 
そう思ったが、一応答える。
 
 
「ちょっと散歩。」
 
 
 
「えー、こんな田舎を散歩してもつまんないよ?」
 
 
苦笑いをしながら俺に言ってきた。
 
 
「…そうか?」
 
 
 
「うん。あっでもね…
この先にある丘は良いよー。」