Blue sky ~ 記憶 ~

「…あたしは教室に戻る、さっき聞いたことは全て忘れてくれ。」
 
 
 
それだけ言い残すと、華音は屋上から立ち去った。
 
 
 
 
 
「…………。」
 
 
 
俺はいろいろなことを考えていた。
 
 
華音と高橋の関係。
 
華音の言っていた呪いのこと。
 
 
そして…
 
いつも気にはなっていたものの、そこまで深く考えることが少なかった、右手首の包帯のこと。
 
 
 
 
思えば俺は、華音のことを知っているつもりで、全然知らなかった。
 
 
 
過去のこともそうだし、誕生日や血液型だって知らない。
 
 
 
俺は今まで華音の何を見てきたんだ…。
 
 
そう思うと自分が情けなくなってくる。
 
 
 
「…俺の過ごしてきた時間って何だったんだ……。」