「あれは、俺と悠悟が近所の店に買い物に行く途中に起こった……。
 
 
俺達は横断歩道を渡り歩いていて………。」
 
 
俺は小さくため息をつき、続けた。
 
 
「まさかその後に、信号無視をした車が来るなんて…
 
誰が予想したと思う……?」
 
 
 
俺は拳を強く握りしめる。
 
 
 
「……それで神倉の弟は…?」
 
 
華音は遠慮がちに俺に聞いた。
 
 
「死んだよ……俺を護って…。」
 
 
 
「神倉を…護って……?」
 
 
華音の声が驚いていたのが分かった。
 
 
 
「あぁ……情けねぇよな………。
 
弟に護られるなんて…。
 
 
 
何で…俺が護られてんだよ………。
 
逆だろ…?普通…。」
 
 
俺は唇を噛み締めた。
 
 
「俺は悠悟を護ってやれなかった…。
 
俺が護っていれば、今ごろ悠悟は……。」