「……今はまだ話したくない。」
 
 
華音が唇を軽く噛んだ。
 
 
「…そうか。」
 
 
 
「………。」
 
 
 
「そういえば華音に俺のことって、あんまり話してないよな。」
 
 
思い返すと、いつも俺が華音のことを聞いてばかりだった。
 
 
 
「そう言われるとそうだな。」
 
 
 
「…だから、今から話す。」
 
 
 
「え…?」
 
 
華音は突然の俺の言葉に、驚いている様だった。
 
 
「聞いてくれるか…?」
 
 
俺は一応聞く。
 
 
「あぁ、当たり前だ。」
 
 
 
 
 
「……俺には五才年下の、悠悟(ゆうご)という弟が居た……。
 
あれは俺が十二才、悠悟が七才の時だ…。」
 
 
華音は俺の顔を見て、真面目に話を聞いている。