「何でまだそれ着てんの?」
 
 
 
俺は華音の制服を見ながら言う。
 
 
…こんな暑い日に冬服を着るなんて。
 
 
 
「……ここの夏服…半袖だろ?」
 
 
華音はそれが何か問題のあるかのように言った。
 
 
 
「あぁ、そうだけど…それがどうかしたか?」
 
 
 
……ちらっ…
 
 
 
華音は静かに自分の右手に目をやった。
 
 
 
「…包帯が見えるから。」
 
 
 
「……華音…包帯の下には何があるんだ?」
 
 
「…………。」
 
 
華音はそのまま黙り込んでしまった。
 
 
 
「ごめん、しつこいよな。前にも何回も聞いたことあるし…。」
 
 
俺は華音の顔色が曇ったのを見て、とっさに言う。
 
 
「……いつか‥
 
いつか、そのことを話したい……
 
でも今は…まだ話せない。」