それにしても、今日は天気がいいな‥。
 
あの丘にでも寄って帰るか。
 
 
俺は窓から空を眺めながら、そんなことを考えていた。
 
 
 
「…神倉、窓開けて。」
 
 
隣から華音が言う。
 
 
 
前までは華音は俺のことを『お前』とか『あんた』と呼んでいた。
 
でも、今は神倉とちゃんと名字で呼んでくれるようになった。
 
 
 
これもちょっとした進歩だな…。
 
 
 
「神倉、聞いているのか?」
 
 
 
華音の声が耳元で響いた。
 
 
 
「ぅわっ!何だよ…!?」
 
「さっさと窓を開けてくれ。」
 
 
「…んだよ、自分で開けろよな…。」
 
 
俺はそう言いつつも席を立ち、窓を開ける。
 
 
 
「別にそれくらい良いだろ?」
 
 
「ったく……ん?」
 
 
俺は華音の制服に目をやった。