「…初めまして私、是奇の母です。こちらが主人です。」
 
 
女性はそう言うと、隣に居る男性に目を向けた。
 
 
「…同じクラスの黒川華音です。」
 
 
少女は一応、軽く自己紹介をした。
 
 
「…実は、これを渡しに来たんです。」
 
 
女性は少女に、一通の手紙を渡した。
 
 
「これは……?」
 
 
 
少女は手紙を受け取り、裏を見た。
 
 
差出人の欄には『是奇』と書いてあった。
 
 
 
宛名には『黒川華音』と書かさっている。
 
 
 
 
「是奇の部屋の床に…これが落ちてたんです。」
 
 
 
「…神倉があたしに手紙……?」
 
 
少女は無言で手紙を見つめていた。
 
 
「あっ…心配しないで下さいね。中を見るような真似は、決してしていませんので。」
 
 
慌てながら、女性は言った。