「…今日だけは、樹菜って呼んでも良いよ。」
 
 
 
「ありがとう……樹菜…。」
 
 
その二人の会話は、どことなくぎこちないものだった。
 
 
 
「神倉是奇のことだけど……。」
 
 
その娘は、少しためらいながら言った。
 
 
「………あたしは…取り返しのつかないことを、また過ちを繰り返したんだ。」
 
 
少女は頭を抱え、その場に座り込んだ。
 
 
「華音……こんなこと言うのも、どうかと思うけど…華音は幸せよ。」
 
 
その娘は薄く微笑みながら言った。
 
 
「…どうして……このどこが幸せなのよ!?」
 
 
少女は怒鳴り声を上げた。
 
 
「ごめん……私の言い方が悪かったわね。でも…聞いて?」
 
 
 
少女は無言で頷いた。