「…どうして?」
 
「……何でだよ…是奇!」
 
「嘘でしょ…?是奇君…!」
 
 
 
辺りは、喪服や学校の制服を着た人であふれている。
 
 
ここは葬儀会場。
 
すすり泣く声や、悲しむ声があちらこちらで聞こえている。
 
 
 
「…悠悟だけじゃなくて、是奇までお母さん達を置いて逝っちゃうの……!?是奇……。」
 
 
「お母さん、落ち着いて…。」
 
 
 
泣きじゃくる女性と、それをなだめる男性が一人。
 
 
そしてその人達をただ呆然と、見つめている少女が独り居た。
 
 
 
「……華音。」
 
 
そう言って、少女と同学年と思われる娘が少女に近づいた。
 
 
「樹……高橋。」
 
 
 
少女の顔は曇っていた。