Blue sky ~ 記憶 ~

「……手すりを使えば良いだろ。」
 
 
華音が、階段の横の壁についている手すりを指差した。
 
 
「だーかーら……俺は歩けないんだぞ!?」
 
 
俺は勢いで松葉杖から手を放してしまった。
 
 
…やばい、転ぶ!
 
とっさに俺は目をつぶった。
 
 
 
「神倉っ…!」
 
 
華音が俺のところへ駆け寄ってくる。
 
 
 
 
 
「………あれ…?」
 
 
俺は気の抜けた声を出した。
 
 
 
「…………俺、今立ってる?」
 
 
 
華音が俺を支えているわけでもなく、何かに掴まっているわけでもない。
 
 
自分一人で立っている。
 
 
 
「…神倉、お前はふざけているのか?」
 
 
華音の目が怒りに満ちている。