Blue sky ~ 記憶 ~

「ここからはこれを使え。」
 
 
そう言って、華音は松葉杖を俺に差し出した。
 
 
「あぁ。」
 
 
 
…松葉杖だ。
 
 
本当に華音の家にあったとは。
 
 
俺は松葉杖に重心をかけ、立ち上がった。
 
 
 
「それじゃ、行くとするか。」
 
 
華音が俺の部屋のドアを開けながら言った。
 
 
 
「そうだな。」
 
 
 
…なんか腹へったな……。
 
今何時だろうか。
 
 
俺はポケットに入れてある、携帯の待受画面を見た。
 
 
 
…まだ十時前か。
 
 
「…って、華音!お前学校はどうしたんだよ!」
 
 
 
すっかり重大なことに忘れていた。
 
 
今日は平日なのに、華音は学校に行っていない。