「…………。」
 
 
 
俺は無言のまま本を閉じた。
 
 
柚の持っていた本と、この本では物語が少し違う…。
 
 
 
…と言うか、柚の本と同じく、この少女が華音のことだよな。
 
 
そして、少年が俺。
 
 
 
じゃあ俺は………
 
 
「是奇お兄ちゃん、ママ帰って来たからもう行くね!」
 
 
 
葉菜が俺の顔を見ながら言った。
 
 
 
「…おう、じゃあな。あんまりお母さん困らせるなよ?」
 
 
 
「是奇に言われたくねーよ!またな、是奇!」
 
 
「是奇、ありがとな!」
 
 
隼斗と涼夜が元気に言った。
 
 
 
「あぁ、またな!」
 
 
俺は手を振った。
 
 
 
そして、三人は家から去って行った。