「涼夜、さっき葉菜に言ったこと聞いてたか…?」
 
 
俺は呆れ気味に聞いた。
 
 
「悪い、手が滑ったんだよ。」
 
 
 
「ふぅ……まったく、あんまり散らかすなよ。」
 
 
俺は再び本を拾った。
 
 
「……あ…。」
 
 
 
俺は落ちていた、ある一つの本を手に取った。
 
 
…この本、読んだ記憶がある。
 
 
 
 
もしかして……
 
この本が…。
 
 
 
俺は本を開いた。
 
 
 
 
「…やっぱり……この本が…。」
 
 
 
小さいときに聞いた物語はこの本だったんだ。
 
 
 
 
「是奇どうしたんだよ?」
 
 
隼斗が俺の顔を見ながら言った。
 
 
「いや…何でもない。」
 
 
 
俺は動揺を隠しきれなかった。